“神が何かは知ることはできないが、それは確かにここに居る”
(ウェルギリウス アエネーイス 8 351ー2)

陽は輝き、あまねくを照らし、
地上にいのちを生かす。
日々、様々ないのちと出会う。
たくさんすぎて、それらを数え切れはしないが、ときおり特別な瞬間が訪れる。
たとえば舗道のわずかな土や石垣のすき間に根を張る草花を見つけたとき、
朽ちゆく木の中に小さな芽吹きを見るとき、
森という無数のいのちの中にいるとき、
そして厚い雲から太陽が現れて、ふたたび荒野を輝かせるとき、
私は深く心を動かされる。
身体の中を不思議なものが駆け抜けて、どこか深い深い場所から
喜びが湧き出ずるのを感じる。
私はそれを恒に感じていたくて、そして誰かと分け合いたくて言葉を探すが、
見つけることはできない。
それは、言葉に余る何かだ。
だから私はその小さなかけらを、気長に採集することにした。
ある日ある時の陽の光と、いのちの姿を、暗い箱の中の薄いシートの上に捕らえて持ち帰り、
たっぷりの時間をかけて、それをあらわしめる準備を調える。
手で漉かれた紙、鶏が産んでくれた卵、銀を溶かした液、太陽光と水の力に頼って。
見上げれば、ある雲、ある夕日、広がる空の美しさがある。
その下で、自然が見せてくれる一瞬には、長い時間をかけて連綿と続く
いのちの調和が込められているのだ。
考えることをやめて、その背後の存在を、ただ感じ、慕う。
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CV
展覧会/
2015 - アルビュメンプリント個展 "Look at Me, I'm Here"
ル キャビネ イリヤ(青山、東京)
レクチャー &作品プレゼンテーション/
2018 - レクチャー、アルビュメンプリントワークショップ
ベニントン大学(バーモント州)
2014 - レクチャー /
ベニントン大学(バーモント州)
メディア掲載/
2017 - 福井放送局「おじゃまっTV」ニュース特集
東京大学美学芸術学科卒業
徳島出身、米国在住